教養がない人に共通する「表題の件」の誤った使い方
メールなどで「表題の件について~」という表現を使っていませんか?
「表題」という言葉以外にも、メールの件名などを指す言葉として以下のような表現を見かけます。
ひょうだい:「表題」「標題」
ひょうき:「標記」「表記」
しゅだい:「首題」
けいだい:「掲題」
しゅき:「首記」
じつはこの言葉のうちのいくつかは間違った使い方です。
間違った言葉を使っていると、知らず知らずのうちにアナタの評価が下がってしまう恐れがあります。
それぞれの言葉の意味をしっかりと理解して、正しい用法を身につけましょう。
それぞれの意味は?
国語辞典ではそれぞれ以下の通り記載されています。
※今回の話しと関係が深い意味については太字にしています。
表題/標題
(1)本の表紙に書かれている本の名。
(2)講義・演説などの題目。
(3)演劇などの題目。
漢字は違いますが「表題」と「標題」の意味は同じです。
ちなみに「題目」の意味は以下となります。
(1)書籍や文章の表題。題号。
(2)討議・研究などの主旨。主題。
(3)日蓮宗で「南無妙法蓮華経」と「妙法蓮華経」のこと。単なる経の名や帰依の心を表すのではなく、法華経の真理を示すものとして特に重視される。
標記
(1)目印としてしるすこと。また、その目印。
(2)標題として書くこと。また、その題。
表記
(1)おもてに書き記すこと。また、その文字。おもて書き。
(2)文字や記号で書き表すこと。
「おもて書き」の意味は以下。
手紙や書物などの表面に書くこと。また、その文字。おもてがき。
首題
(1)手紙や通達書などのはじめに書いてあること。最初の題目。
(2)経典のはじめに書かれた文句。
掲題
(1)題としてかかげること。また,かかげられた題。
首記
(1)文書や掲示の冒頭に記してあること。
「文書」の意味
文字で書き記したもの。書き物。かきつけ。書類。もんじょ。
※出典はいずれも「大辞林」
どれを使えばいいのか
指し示す対象が違う
「表題」と「標題」は指し示す対象が「本の表紙」、「講義・演説」、「演劇など」です。
よって、メールの件名を指す言葉として使うのは誤りです。
「標記」についても結局は「標題」を意味しているので誤りです。
では「表記」はどうでしょうか。「表記」が指し示す対象は手紙や書物などの表面に書かれる「おもて書き」です。
メールを広義の意味での手紙と考えれば使えないこともなさそうですが、ピッタリと当てはまる言葉ではないので使うのはやめましょう。
「首題」についても「表記」と同様に指し示す対象が手紙ですのでNGです。
「掲題」か「首記」を使おう
メールの件名を指し示す言葉としては「掲題」か「首記」がふさわしいです。
ただし、「首記」は認知度があまり高くありませんので、できれば「掲題」を使う方がいいと思われます。
おわりに
みなさんが使っている言葉はどうでしたか?正解の「掲題」か「首記」でしたか?
もし違っていたとしても、これから正しい言葉を使うようにすればいいだけです。これを機に正しい日本語を使うようにしましょう。
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